わくわく加工肉

LDHの沼に落ちた日記です

THE RAMPAGE陣さん一人舞台『SlipSkid』感想

こんにちは、ハムです。

EXILE一族の四男坊こと「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」(通称ランペ)という16人組ボーイズグループのオタクをしつつ日々楽しく暮らしています。推しはランペのリーダーでありパフォーマーの陣さんです。

 

今年3月には陣さんの一人舞台『Slip Skid(スリップスキッド)』が東京・中目黒のキンケロ・シアターで上演されました。

 

 

 

常に舞台上に推し、おる!

(一人舞台だから)

ずっと推しが喋って動いてる!!

(一人舞台だから)

いろんな役を演じてる推しが拝める!!!

(一人舞台だから)

 

…という感じで初の単独一人舞台にそれはそれはワクワクしながら行ったのですが、観劇後はあまりのしんどさに帰りの電車を乗り間違えるほど食らい、人生の考え方が少し変わるほど強烈な舞台だったので感想文です。

 

※ネタバレあります

 

なお4月25日まで、LDHの動画配信サービス「CL」でゲネプロの映像を有料配信してます!2,000円です。

 

CL自体は入会無料、練習風景やランペメンバーたちの感想もあるのでぜひ…!見て…!!見てほしい…!!!あとランペメンバー(多分しょへ)の大爆笑やガヤも入ってるよ!うるさくて元気!

 

 

生きづらそうな主人公に共感しすぎてしんどい

「SlipSkid」は、主人公・賢が自分と親友の過去を遡っていくタイムスリップもののストーリー。現代が舞台のちょっとファンタジーなお話です。

親友が事故に遭ったーー
次の日、奇妙な出来事が僕に襲いかかる。
いつもと同じ電車は、何故だか、逆方向へと進み出したんだ。
停まる駅、停まる駅、どれもが見覚えのあるいつかの光景。
ここには居ないはずの親友の姿。
忘れた夢、知らなかった真実、消えない後悔。
見ないふりして生きてきた僕の本性が、溢れだす。
奇妙な電車は、未来を忘れた僕を乗せて、記憶の断片を遡り始めた。(SlipSkid公式サイトより引用)

 

脚本・演出は、俳優であり劇作家の小沢道成さんが手掛けています。過去に小沢さんが所属されていた「虚構の劇団」の公演に何度か行ったことがあり、可愛いようなかっこいいような不思議なクセのある役者さんだなあと思っていたので、陣さんの舞台に小沢さんが関わると知ってびっくりしつつとても嬉しかった!

 

メインビジュアルは「SlipSkid」というタイトル通り、シンバルや線路、学習机など、話にまつわる小物と一緒に主演の陣さんが滑り落ちているような雰囲気。

 

 

いや~~~~~~……ビジュが…ビジュが良い……!

 

凝ったビジュアルがお出しされた時点で期待感爆上がり!!!だったのですが、本番の衣装はパーカー・チノパン・チェックシャツとリュックを背負った凡庸そうな青年ルックでした。陣さん、普段は半袖シャツ黒尽くめコーデが多いので(そのコーデも好きだ……)、文系オタクみたいな衣装は貴重!かわいい!メガネ姿ありがとうございます!

 

 

猫背でオドオドとした主人公・賢は、音楽ホールで働く社会人。そして親友のノボルはオーケストラの打楽器奏者。「SlipSkid」は、賢が働く音楽ホールで、ノボルが所属する楽団の演奏会が開催されるところからスタートします。

 

小学校の頃から仲良しで、二人は社会人になっても親友!……と言う賢ちゃんですが、ノボルを"親友"と言って褒める割には引け目を抱いて卑屈になっている様子。ノボルに励まされてもいまいち耳を貸さず、思い出を遡っていく過程で「自分の人生がうまくいかないのはノボルのせいじゃないか」と思う始末。そして賢ちゃんは発言にまとまりがなくて言い訳も多く、見ているこちらがモヤモヤとするキャラクターです。

 

雑談が苦手な賢ちゃん…

喋っているうちに話がまとまらなくて空回る賢ちゃん…

ひとつでも引っかかりがあるとそれに引っぱられがちな賢ちゃん…

内に内に思考が入り込んで周囲への気がそぞろになってしまう賢ちゃん…

 

い、生きづらそう~~~~!!!!

私自身、人と話したり自分の意見を伝えるのが無茶苦茶苦手なのですが、賢ちゃんの「どうせダメ」「うまく伝わらない」「自分はちゃんとやったはずなのにどうして」の思考は身に覚えがありすぎて共感性しんどさにもんどり打ちました。つらーい!!!

 

身に覚えがない方は「こういう思考の人類もいるんだな……」とちょっとでも思っていただけると……

 

 

ネガティブ思考仲間として賢ちゃんに自己投影し始めると、つられて自分の似たような過去を思い出してしんどみ具合が指数関数的に増していきます。推しの単独舞台ヤッター!!みたいな気持ちで来たはずが、話が重くて泣けた!とか感動の涙!とかじゃなくて自分の嫌な思い出や感情を突きつけられてベロベロに泣くとは思わなかった。しんどすぎる。

 

「もうやめて!賢ちゃん(と私)のライフはゼロよ!」状態で迎えるクライマックスは、共感が高ければ高いほど強烈なカタルシスが体験できるはず。過去を改変する特殊能力があるわけでもないし、賢ちゃんの思考は相変わらずぐちゃぐちゃのままですが、後悔の多い人生でもちょっと前向きに考えてもいいのかな!と思えるラストでした。

 

あと陣さんがいろいろな声色を使って演技していたのに気づかず(友人に教えてもらった)、演技の幅が広すぎる!と驚きました。陣さんに密かな思いを寄せる陣さん……陣さんと陣さんの会話に入れない陣さん……かわいそうかわいい……。

 

想像力を掻き立てる小物や音楽が楽しい!

賢ちゃんの現在からスタートする話は、就活、学生時代……と目まぐるしく場面が変わっていきます。常に陣さんは舞台上にいるし舞台のセットを大きく変えることもないのですが、観客の想像力を掻き立てながらいろいろなシーンを見せてくれました。

 

 

ぬいぐるみや模型、ラジカセなど、おもちゃ箱をひっくり返したみたいに雑然とした舞台セットは賢ちゃんのごちゃごちゃな思考を現したよう。ひとつの道具を様々なものに見立てたり、意外なところに道具が仕込まれていたりと、「そこにか!」と言いたくなるような演出が盛りだくさんです。

 

また、オレノグラフィティさんの音楽もとても良かった!物語の始まりは合奏前に行うチューニングのハーモニー、電車のガタンゴトンという音はスネアドラム、雷のような衝撃音はティンパニだったりと、管楽器や打楽器の音の使われ方が楽しい。

 

それから冒頭にうるさいくらいの重低音を響かせながら暗転するシーンがあり、劇場の空間から「SlipSkid」の世界に一気に連れて行かれるような不思議な感覚がして面白かったです。舞台すごい。

異様に解像度の高い打楽器あるある

あと吹奏楽やオーケストラの経験がある人に向けて声を大にして伝えたいのですが、打楽器やってる人の解像度が異様に高いよ!!!

 

ストーリーに打楽器(シンバル)が深く関わってきますが、中学高校社会人と吹奏楽部で打楽器をやってきた身としてはぜーんぶ既視感!パート割りはプライドのぶつかり合いで揉めるし上手な人に嫉妬するし暇な曲中は意識が散漫になるしあの失敗をやらかして超笑われたこともある~!

 

同じ市民楽団で打楽器パートだった友人に『SlipSkid』を見てもらった際は、吹奏楽のネタで「わかる〜〜!!!!」と爆裂に湧きました。吹奏楽や打楽器の経験がある方が見たら吹奏楽あるある的にも楽しいと思います。ノボルがシンバル一発だけ演奏した曲、「新世界より」かと思ったけど絶頂に叩く曲だとブルックナーの「交響曲第7番」かな……。あと吹奏楽コンクールがテーマだったらさらに地獄みが増して私が悶絶していたと思うので、文化祭でまだ心臓が持った。

 

自分と対話したくなる舞台

「SlipSkidを見たあとは自分と対話したくなる」と公演前に陣さんが話していた通り、賢ちゃんの人生を追体験しながら自分のこれまでの人生やこれからについて考えたくなる舞台でした。卑屈になったり嫉妬したりとネガティブな感情を否定せずに寄り添ってくれる優しい話は、後輩がデビューする姿を見ながら頑張ってきた陣さんが演じるからこその説得力もあります。

 

ゲネプロの配信は4/25の23:59まで。終了まで何度も見て目に焼き付けておきたいと思います。本当に配信を実現してくださってありがとうございます!陣さんと大人の方々!!

 

 

(今後の円盤化や再配信も……お待ちしてます…!!!)